起業訪問記15
創作和菓子工房「手毬」 御園井裕芙子さん
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おいしくて、美しくて、楽しい和菓子作りがわたしの仕事。
御園井裕芙子さん。 |
クマのプーさん、ドラえもん、子ブタやラッコなど愛くるしいキャラクター。かたや、梅、桃、桜、あじさいなど淡い彩りで開花する季節の花々。そのいずれもが創作和菓子作家、御園井裕芙子さんの作品。作家と作品、といういい方にあまり違和感がないのも、少々、不思議な気がするが、そのオリジナリティで“勝負”(菖蒲花の和菓子もありましたか。。。)というこだわりが伝わってくるからだろう。
「おもてなしを込めたいと思いまして。」と御園井さんは時に着物姿でワークショップなども行う。が、一方で“おやじギャグ”含みのトークも好評のようだ。
和菓子制作歴15年。まだ昨今の和菓子ブームが始まる前からこの世界に飛び込んだ。どちらかというと甘いものは苦手。おせんべいや塩豆を好んでいた人がなぜ——
「会社勤め、小学校教員、フリーの司会業などいろいろな仕事をしてきましたが、もう少し創造的な仕事がしたいと思いまして…」
自宅のキッチンで子育てや家事の合間をぬって試作を重ねる。甘党でない自分が食べてもおいしいもの、見た目にも楽しく美しいもの。やり方としては教室開催を中心にして、販売は注文制、少しずつルートを広げていった。
「途中、出産や子育てに追われる時期がありましたが、それでも継続してきたのは、思っていた以上に和菓子を作ることで自分のやりがいや他の人との広がりの手ごたえを感じたからかな。」
製菓衛生士、調理師の資格も取得し、2003年ごろから住まいの茅ヶ崎はもとより、鎌倉を中心にした活動が軌道にのってくる。注文に応じて伝統和菓子からキャラクターものまでさまざまな和菓子を制作、「お客さんの発想で、注文を受けてあれこれ作りながらデザインするんです。」和菓子でケーキという注文もあれば、メロンパンが好きな人へ贈りたいということでメロンパンに似せた和菓子。お寺さんからの注文を受けて”仏足”をあしらったものを作ることも。
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大きな実をふっくら包んだイチゴ大福は人気の季節の味。 |
形、色、味と自由自在。原材料はアズキなどの餡や米粉、上新粉などが中心。このあたりがヘルシーなお菓子として最近、若い女性にも人気があるのか。海外でもさらに評判は高いようだ。'05、6年とドイツ、'09年にはニューヨークデビューを果たし、日本食と並んでジャパニーズ・スウィーツのファンを開拓したようだ。伝統的な和菓子作りを踏まえつつ、思いきり今風にアレンジしてその良さを再構成する。
そのへんの屈託のなさは、ビジネスをすすめる際の特権かもしれない。たとえば、その色あい。食べてしまうのは惜しいと思うような美しい色。御園井さんは赤、青、黄、緑の着色料を微量、配合し繊細な色づかいに気をつかう。「まったく自然の染料がないわけでないが、ここまで美しく、おいしそうな色は残念ながら出ませんね。」和菓子にはストーリがある。季節、和のこころ、おもてなし、一服のやすらぎ、ゆるりとした気持ちを演出するのも大切である。そして、ロケーションがプラスされて、本当にいいな、と思える顧客満足度も確保。
昨年秋からは、創作和菓子工房「手毬temari」として、その拠点を北鎌倉にあるアートスペース・たからの庭(前回紹介)へ置いた。月2回の和菓子教室や、月はじめの和菓子カフェも定着しつつある。和菓子は1個200〜300円、特に人気は上生菓子やどら焼き。他店にはないもの、ということで創作ものの注文も主力の商品である。原材料の仕入れ先も一定し、宣伝費に経費をかけることもない。ただ、包装資材にはまだ課題が残る。見た目も大事、エコも大事、経費も節減。ジレンマである。収支をどうにか合わせての個人業であるが、この先、大手からの注文などを受け入れるにはそれなりの仕組みもそろそろ必要かなと考える時期でもある。
さらに、「もう少し海外でも広めたい、というのが今の一番の関心事でしょうか。」本物の日本の味を求める人たちが潜在しているのは確か。その味を介して人々の文化や伝統への理解と交流の助けになるなら、これはまさに社会的ビジネスだ。和菓子の奥も深い。それだけにこれからの事業展開が楽しみだ。
御園井さんのホームページ↓
http://www.temari.info/
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