自宅の編み機を使って自分でデザインしたニットから始まった北村和子さんの洋服作りは、30年を経た現在では、take off CO.LTDとして夫が社長で経営の元締め役、北村さんが専務兼デザイナー、息子は2年前に都心への進出を果たしてオープンした都内・目白店の責任者など、大きなファミリービジネスに成長、スタッフは20人に。鎌倉を代表するブランドになって、ゆるやかなシルエットで女性たちを装う。
洋服だけではない。アンティーク好きは仕事を始めて以来の長い趣味でもあり仕事。毎年ヨーロッパの骨董市やお店で見つけてくるアクセサリーも服と並んで多くの根強いファンがいる。
そのファンつまり顧客層をたずねると、3分の1くらいずつの比で、鎌倉市内、藤沢など湘南エリアと横浜南部、そしてあとは県外にと広がる。外出着、パーティー用などの個性的でおしゃれな服をイメージしているせいか、母と娘といった2世代にわたるごひいきも増え、やや“高値感”のする洋服ながら堅実な売り上げを維持している。
「皆さん、長く着てくださっているようですし、しかも他とは違った“匂い”がわかってくださるようで。」と、北村さん。大事にして長く着れるので愛着がわく気持ち、人の視線を感じたり、他との違い感に満足してまたほしくなる気持ち、これはとてもよくわかるような気がする。(実は、わたしもそんなひとりで。。。)
流行に左右されないデザイン、あからさまでないファッション、生地の風合いをいかしたゆったりしたシルエットなどなど——ここならではの“匂い”のついたデザイン、着こなしの提案というのがこういうことなのだろうか。それが買い手に支持されて自社4店舗の順調な経営につながっている。
小花、水玉、レースなどオリジナルデザインの刺繍生地も種類が多い。通常、1色で6〜10枚ほどの製作数に抑えている。ロットが少ない分、割高になるが、そこをこらえて限定生産することで、オーダーメイド的な顧客の満足感を高める効果は十分だ。
北村さんはそのブログで、身辺の暮らしぶりの一端を紹介している。季節の変化、草花の開花、手料理で楽しむパーティーなど自分のデザインが生まれる背景をオープンにすることによって、さらにデザインの匂いを鮮明に、新鮮に広げていこうとしているようだ。
「いま思えば、資金面でも生活面でも父や夫に後押しされて、鎌倉の八幡様近くの借り店舗でオリジナルニットを販売したのがことの始まり。子育ても家事も仕事もみんなやりたいと、いろいろバランスを取りながら継続してきたからこそここまでやれた。」
わたし流を貫いたからこそ続いたのだと、と。
それらがいまもいい感じの匂いになってデザインが次ぎ次にうまれてくるのだろう。
60歳を迎え、これから、さらに、という節目の時。“気”がある、北村さんを見立てた先輩の言葉のとおり、まだまだいろいろなことがやれそうな気がすると、次なる企画に意欲的だった。
Take off のHP→ www.takeoff1976.com
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