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起業訪問記 4

「一品勝負で手応え 」


ケーキ工房ではオリジナルレシピを公開します、
と月1回のシフォン教室を開催する青井さん。
農協連即売所の中は、新鮮な野菜や花がいっぱい、
そのほかに乾物屋、食堂、パン屋、焼鳥屋そしてケーキ屋と
いろいろなお店が所狭しに肩を並べて賑わう市場だ。  

(鎌倉市小町・鎌倉しふぉん)

鎌倉駅近く、農協連即売所の野菜市場といえば人気のスポット。地元住民だけでなく観光に訪れた人もここに立ち寄って、いまやブランドとなった“鎌倉野菜”を買い求めていくところ。だが、今回はその野菜でなくシフォンケーキ——市場のケーキ屋さん、「鎌倉しふぉん」の話。

シフォンケーキといえば、あの優雅な軽量感がなんともいえず、でも半分は空気をいただいているようであっという間に口の中でなくなっていく喪失感。。。でもおいしいです。だからなるべくゆっくりゆっくりいただくことになって、“スローフード”ですね。

シフォンケーキで起業して5年、かなり前から行列のできるお店として繁盛しているわけは… 「多分、ケーキプラス何かを買ってくださるからかしら。場所もいいし、あまり元手もかけずに開業したので、ゆったり仕事をしていることもあると思うけど。」
と、自己分析するのは有限会社、オフィスサウルのオーナーで、“シフォン職人”の青井聡子さん。ちなみに会社名のサウルはイスラエルの古楽器ハープのこと。

シフォン作りは、作り手のその日の気持ちが味や形にでるらしい。だから、ケーキを焼くのをオーブンだけにまかせないで、何か、特別の気を込めているようだ。「幸せっていう素材かしら、うふふ〜」ということで、毎月開催するシフォン教室も、手の内をあかして、オリジナルレシピの公開をしている。全国からプロも含めて参加する人で、定員10人はいつもいっぱいだそうだ。

というわけで、シフォンケーキはシンプルな素材で、焼きっぱなし、デコレーションもない代わり、奥が深いらしい。お店ではチョコレート、あずき、豆乳、黄粉など日替わりで6〜8種類用意。ホールで1575円、1カットで262円、トッピング用生クリームもおいてある。

青井さんも東京からの移住組の一人。夫をおいて息子と二人で鎌倉へ。自らの収入を得たいとい仕事を探しているうちに、寺院参道わきの貸店舗で小さな喫茶店を始めたのが最初。といっても当時、自分の資金が足りなかったため、店舗を借りる契約も月極めで なく日極めだったというから、遣り繰りには苦心したようだ。

そこで2年半ほど続けたが、なかなか進展していかない。だが、なんとかしたいと次の模索が始まった。そういえば、ケーキセットでだしていた手作りのケーキの評判がよかったのではしかし…、ケーキ屋は鎌倉にも多い。

そこからシフォンケーキにたどり着くまではそんなに長い道のりではなかった。すでに起業のマインドができていたからだと思われる。子どもの学校を通じて仲間も広がってきたし、次の計画で動き始めると、友人がいろいろな情報を持ってきてくれた。そして、市場にできた空き店舗を提供してくれる人、その内装を引き受けてくれる人などの協力を得て、03年、鎌倉にはこれまでなかったシフォンケーキ専門店の誕生となった。05年には有限会社にして起業の基盤固めに。

現在スタッフは8人。みな子育てとの両立を望んで、週2,3日のパート勤務。オーナーとスタッフの人件費、店舗とケーキ作り用キッチンの家賃、諸経費を除いてまずまずの黒字経営というから、そのオリジナル商品も含めていまのところ起業の“優等生”といってもいい。開業資金に要した自分の貯えと借金をあわせた約200万円も、そのうちの借金分は完済した。市が主催する女性の起業応援講座の講師を務めたこともある。

そんな青井さんの楽しみのひとつが芝居。最近、「劇団・鎌倉こまち」を旗揚げしたところ。仕事だけでなく地域とのつながりをもっと広げていきたいと願っている。

鎌倉しふぉんのHP → http://www.k-chiffon.com