起業訪問、まずは地元からスタート。ここ鎌倉市は人口約17万人、うち女性が9万人、男性8万人。中規模な地方都市ではあるが、観光客の数をみると年間1800万人を超え、その約1割は外国人ということだ。
この街にも起業をしている女性たちが少なからずいる。と、検索した結果、インタビューに応じていただいたのは、株式会社「鎌倉 今村」(扇が谷)の社長・今村久美子さん。2人のスタッフとともに古い着物地、帯地などを再利用しておしゃれなグッズに変える手仕事人。
「そうなんです、鎌倉という観光地のお土産用に何か…と、いま新たに商品開発を試みているところですが。大きな目標はあの鳩サブレーのように、皆さんが買ってくださるようなもの。」
2000年の開業以来、今村さん、これまでかなりの事業努力をしてきたからこそ、口にできる次なる目標である。
古くなったとはいえ、着物はそれなりの質の良さをもち、まして母や祖母たち先代が大事に愛用したとなれば、なんとか形を変えても残したい。そこまでは思うものの、そこ止まり、が多い中で、今村さんは一歩前に出た。
とりあえず、試作品の袋ものを作り友人たちに見てもらう。なんだか、よさそう、それならワゴン販売をしているからそこに置いてあげる…等など、思った以上の反響で弾みがついた。さらに背中を押したのは、夫の事業が不振になり自分でも何かしなくてはという一種の危機感。
思い付きだけの行動ではない。そのころちょうど市の広報で女性起業家養成のセミナー開催を知った。女性の起業支援では多くの実績をもつ県立かながわ女性センターとWWBジャパンが開催したものだが、自分がほしいと思っていた知識や情報を得る機会となった。布への愛着がビジネスへと進んでいった。
それから最大のピークと窮地を経験する。当初は店舗をもたずに、催事などでの販売が中心。横浜、八王子、所沢、千葉など声がかかればどこへでも出張販売にでかけた。
年間20か所もの販売を手掛け、3人で1千万円以上の売り上げの実績も作った。ちょっと工夫を凝らしたデザイン、和柄の品の良さ、3人とも作っては売るの毎日。
しかし、やはり無理が現実になった。今村さんの発病、入院治療で会社は窮地にたたされた。しかし、それでもやめるわけにはいかない。3人とも失業することになるし、ここまで開発してきた商品への愛着も強い。今村さんは、必死で次の策を練った結果、これまでの出張販売をやめて、工房での教室の開催と地元を軸にした販売への方向転換を図る。商品も小物の方へより多く比重をかけた。夫や娘を再度、説得することにも成功した。
同時に2006年に株式会社化し、対外的な信用の確保と継続の意思を自他ともに鮮明にした。
こうして会社は次のステージを歩みだすことになった。アパートの1室を借りて工房にし、そこで教室と商品の展示販売、さらに、市内など3か所への卸しを充実させて販路を拡大、一方でカタログ・ネット販売も充実、合わせて一定の収益を確保できるようにした。
そして、次なるステップが、和布小物界の“鳩サブレー”である。
「わたしは芝居の仕事を長くしていましたので、40代になってから主婦や母になりました。その生活感覚と仕事としての厳しさの両方を糧にしながら、大好きな地元鎌倉で始めた起業をもっと育てていきたい。」
鎌倉 今村のHP ↓
http://www.kamakura-imamura.com/home.html